Application Note SpectraMax Lマイクロプレートリーダーを用いた
化学発光VEGF ELISA

資料ダウンロード

PDF版(英語)

By Cathy Olsen, Ph.D., モレキュラーデバイス, 1311 Orleans Drive, Sunnyvale, CA 94089

はじめに

血管内皮増殖因子(VEGF)は、哺乳類の血管形成や異常な血管増殖を伴う疾患プロセスに関与する分泌性ポリペプチドのファミリーです。VEGFは胚発生の過程で発現し、たった1つのVEGFアレルの欠失でも血管形成が著しく阻害され、胚致死を引き起こします。VEGF₁₆₅は、哺乳類において最も豊富で生物学的活性の高いVEGFのアイソフォームです *1。QuantiGlo化学発光VEGFイムノアッセイは、細胞培養上清、血清、血漿、唾液、尿中のVEGF₁₆₅濃度を測定する固相ELISAです。このアッセイは、VEGFに特異的なモノクローナル抗体をマイクロプレートにコートし、標準品およびサンプルをウェルに添加する定量的サンドイッチ酵素免疫測定法を用いています²。結合しなかった物質は洗浄によって除去され、VEGFに特異的なポリクローナル抗体(HRP結合)がウェルに添加されます。さらに洗浄を行い、未結合の抗体-酵素試薬を除去した後、強化型ルミノール/過酸化物基質をウェルに添加します(図1参照)。ウェルに最初に結合したVEGFの量に比例して発生する光は、マイクロプレートリーダーで測定されます。アッセイ結果は、SpectraMax® Lマイクロプレートリーダーを用いて検出されました。この装置はフラッシュおよびグロータイプの発光測定に対応しており、96ウェルおよび384ウェルのマイクロプレートフォーマットに対応しています。専用の発光光学設計により、非常に高いシグナル対ノイズ比と極めて低いクロストークを実現し、8桁以上のダイナミックレンジを備えています。SpectraMax® M5/M5eおよびFlexStation® 3のマルチモードマイクロプレートリーダーの発光モードでも同様の結果が得られます。データの取得と解析にはSoftMax® Proソフトウェアを使用し、事前設定されたプロトコールによりデータ取得と解析が簡素化されています。

材料

  • QuantiGlo ヒトVEGFイムノアッセイ(R&D Systems)
    本キットには、アッセイに必要な試薬および材料がすべて含まれており、VEGFに特異的なモノクローナル抗体があらかじめコートされたマイクロプレートやアッセイ標準品も含まれています。
  • SpectraMax Lマイクロプレートリーダー
    ※本アッセイは、SpectraMax M5/M5eおよびFlexStation 3マルチモードマイクロプレートリーダーの発光モードでも検出可能です。

方法

試薬および標準品の調製

ステップ 1: すべての試薬は使用前に室温に戻しました。

ステップ 2: 洗浄バッファー濃縮液を精製水で10倍に希釈しました。

ステップ 3 :使用15分〜4時間前に、Glo Reagent Aを1、Glo Reagent Bを2の割合で混合し、遮光したキャップ付きプラスチックチューブ内でWorking Glo Reagentを調製しました。

ステップ 4:VEGF標準品を0.5 mLの精製水で再構成し、15分以上静置した後、穏やかに撹拌して希釈を行いました。作業用標準品は、Calibrator Diluent RD5Lを用いて1:10の連続希釈により調製し、濃度範囲は20,000〜1.3 pg/mLでした。

アッセイ手順

ステップ1: 各ウェルに150 µLのAssay Diluent RD1-8を分注しました。

ステップ2: 作業用標準品またはブランク(Calibrator Diluent)を50 µLずつ、3つのウェルに分注しました。マイクロプレートは室温で2時間、500 ± 50 rpmで振とうしながらインキュベートしました。

ステップ3: ウェル内容物を吸引し、400 µLの洗浄バッファーで4回洗浄しました。最終洗浄後、残った洗浄バッファーを吸引し、プレートを清潔なペーパータオルに押し当てて乾燥させました。

ステップ4: 各ウェルに200 µLのVEGFコンジュゲートを添加し、新しい接着フィルムで密封しました。マイクロプレートはステップ2と同様に室温で3時間振とうインキュベートしました。

ステップ5: ステップ3と同様に吸引と洗浄を繰り返しました。

ステップ6: 各ウェルに100 µLのWorking Glo Reagentを添加し、室温で5〜20分間、遮光状態でインキュベートしました。

ステップ7: SpectraMax Lマイクロプレートリーダーを用いてRLU値を測定しました。測定条件は、積分時間1秒、AutoRange PMT設定、470 nmのキャリブレーション波長です。

結果

図1は、SpectraMax Lマイクロプレートリーダーを用いて得られたVEGF標準曲線を示しています。アッセイのダイナミックレンジは4桁以上にわたり、バックグラウンドの標準偏差の3倍のシグナルを示す濃度に基づく感度は約1.5 pg/mLと算出されました。これは、R&D Systemsが提示する平均最小検出濃度3.3 pg/mLと良好に一致しています。SpectraMax M5およびFlexStation 3マルチモードマイクロプレートリーダーでも同様の結果が得られました(データ未掲載)。結果の解析および標準曲線の作成にはSoftMax Proソフトウェアを使用しました。

概要

QuantiGlo ヒトVEGFイムノアッセイは、さまざまなサンプルタイプにおけるVEGF測定に高感度で対応可能な方法です。SpectraMax LマイクロプレートリーダーとSoftMax Proソフトウェアを組み合わせることで、本アッセイにおいて優れた感度と広いダイナミックレンジを提供し、データ取得と解析も簡素化されます。

参考文献

  1. Holmes, David IR and Zachary, Ian (2005). The vascular endothelial growth factor (VEGF) family: angiogenic factors in health and disease. Genome Biology 6: 209.
  2. Quantiglo Human VEGF Immunoassay (P/N QVE00B) package insert.

マイクロプレートリーダーについて詳しくはこちら >>

資料ダウンロード

PDF版(英語)