細胞シグナル伝達 幅広いシグナル伝達経路を通じて起こる細胞反応を測定
細胞シグナリング
細胞シグナリングは、細胞が環境に応答し、他の細胞とのコミュニケーションを取るのを可能にします。細胞表面にあるタンパク質は、シグナル伝達経路を構成する一連のタンパク質間相互作用と生化学反応を介して、周囲からのシグナルを受け取り、細胞内に情報を伝達することができます。多細胞生物は、細胞や組織の適切な成長、調節、機能を調整するために、広範なシグナル伝達経路に依存しています。細胞間あるいは細胞内のシグナル伝達が調節不全に陥ると、不適切な細胞応答が癌を始めとした様々な疾患を引き起こす可能性があります。
細胞シグナリングとは、細胞がシグナルを受け取り、解釈し、それに応じて応答するプロセスの総称です。これらのシグナルは、温度、光、電気などの物理的な合図から、細胞表面に結合する小分子などの化学的なシグナルまで多岐にわたります。これらのシグナルを処理する能力があれば、細胞と細胞が、また細胞と環境が相互作用することができます。さらに、細胞シグナリングは、すべての生物における発生、免疫反応、恒常性の基盤を構成しています。私たちの神経細胞が筋肉と連絡を取り合って運動を促進したり、私たちの身体が病原体を認識して免疫反応を起こしたりするのも、このシグナル伝達によるものです。
細胞応答
広範なシグナル伝達経路を通じて起こる細胞応答を測定するために、多くのツールが開発されてきました。Gタンパク質共役型受容体(GPCR)シグナル伝達は、蛍光色素を用いてモニタリングできるカルシウム流動アッセイから、TR-FRETによって評価される下流のエフェクター分子の変化まで、様々なアッセイを用いて研究することができます。蛍光分子は、シグナル伝達経路で重要な役割を果たすキナーゼ活性の変化を明らかにするために利用されてきました。発光反応を利用したルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイは、基礎研究と創薬研究の両方において、遺伝子制御と細胞シグナリングを研究するための汎用性の高いツールとなっています。
細胞シグナリングと細胞応答の検出は、疾患における細胞間相互作用の役割を解明するのに役立ちます。また、多くの薬剤がシグナル伝達中の異常なリガンドとタンパク質間の相互作用を阻止するため、創薬についても細胞シグナリングアッセイから大きな恩恵を受けることができます。
細胞シグナル伝達を支援する製品・サービス
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SpectraMax iD3/iD5
マルチモードマイクロプレートリーダー大型タッチスクリーンを備えた高感度マイクロプレートリーダー
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SpectraMax L
マイクロプレートリーダー96および384ウェルマイクロプレート用のプログラム可能な
インジェクターオプションを備えた高感度ルミノメーター -
FlexStation 3
マルチモードマイクロプレートリーダーイオンチャネル・GPCR活性の測定に威力を発揮する
自動マルチチャンネルピペッター搭載マルチマイクロプレートリーダー -
SpectraMax i3x
マルチモードマイクロプレートリーダー研究ニーズに合わせて進化できるマイクロプレートリーダー
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SpectraMax Mシリーズ
マルチモードマイクロプレートリーダー妥協ない性能と低価格を両立したマルチモードマイクロプレートリーダー
細胞シグナル伝達アプリケーションとアッセイ
以下に、蛍光、TR-FRET、蛍光偏光、および発光検出モードを備えたマイクロプレートリーダーを使用して実行する、さまざまな細胞シグナリングアプリケーションを紹介します。
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カルシウムおよびIP-Oneアッセイ(GPCR、Gqカップリング)
Gタンパク質共役型受容体(GPCR)を介した細胞シグナリングは、下流のエフェクターであるカルシウムや環状AMP(cAMP)をモニタリングすることで評価できます。Gqタンパク質共役型レセプターの活性化に応答するカルシウムフラックスは、一般的に蛍光プレートリーダーにより、カルシウム感受性色素を用いてリアルタイムに生細胞でモニタリングされます。この経路のもう一つのアームは、IP1のTR-FRETアッセイを用いてモニタリングされます。
有益なアプリケーションノートをいくつかご紹介します。
インジェクターモジュール付きSpectraMax i3xリーダーでGqタンパク質共役型受容体の活性化をモニターする >
凍結CHO細胞を用いたFLEXstation 3リーダーによるムスカリンM3受容体アッセイの最適化 >
FlexStation 3リーダーを用いたFLIPR Calcium 6および6-QFアッセイキットによるカルシウムシグナル伝達 >
SpectraMaxリーダーを用いたHTRF IP-One Gqアッセイ > -
キナーゼ、ホスファターゼ、ホスホジエステラーゼ
キナーゼ活性のアッセイは、長年にわたり、放射性同位体または特異性の高い抗体を用いて行われてきました。モレキュラーデバイスの特許取得済みIMAP® テクノロジーは、基質ペプチドの配列に関係なく、多種多様なキナーゼ、ホスファターゼ、ホスホジエステラーゼに適用可能となっており、ハイスループットスクリーニングに適した非放射性の均一性アッセイを提供します。
有益なアプリケーションノートをいくつかご紹介します。
SpectraMax M5マルチモードマイクロプレートリーダーでのIMAP FPキナーゼアッセイ >
SpectraMaxマルチモードマイクロプレートリーダーでのIMAPホスホジエステラーゼアッセイ > -
神経細胞カルシウムフラックス
細胞内カルシウムの変化をモニタリングすることは、機能するニューロンにおいてカルシウムイオンが果たす様々な役割を調べる上で、非常に有用な手法です。神経細胞ネットワーク内のダイナミックなカルシウムフラックスを直接測定することで、神経細胞が細胞外からのシグナルをどのように処理しているかが明らかになります。
このアプリケーションノートは、ラットの一次皮質ニューロンにおける細胞内カルシウムフラックスを、蛍光マイクロプレートフォーマットで測定することについての実現可能性を示しています。
in vitro神経毒性研究および薬剤スクリーニングのための カルシウム流動アッセイ > -
シングルおよびデュアルルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイ
レポーター遺伝子アッセイは、細胞経路の活性化に関連した遺伝子発現を研究するための重要なツールです。セルにはレポーター遺伝子と目的の配列(通常はプロモーターまたは他の転写制御エレメント)を封じ込めたプラスミドをトランスフェクトします。プロモーターが活性化されると、レポーター遺伝子が発現し、そのレベルを測定することができます。
ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイについて、アプリケーションノートで詳しく学びましょう。
SpectraMax iD5マイクロプレートリーダーを用いた高感度デュアルレポーターアッセイでNF-kB活性化をモニタリング >
FlexStation 3 マイクロプレートリーダーでデュアルルシフェラーゼ 発現を検出する >
SpectraMax Lを用いた96および384ウェルフォーマットのデュアルルシフェラーゼアッセイ >
SpectraMax Glo Steady-Luc Reporter Assay Kitを用いたルシフェラーゼ発現測定 > -
cAMPアッセイ(GPCR、Gi/Gs共役型)
cAMPは、アデニル酸シクラーゼの活性化に応答して産生されるセカンドメッセンジャーです。cAMPのレベルをモニターすることは、Gi/Gs タンパク質共役型受容体のアゴニストやアンタゴニストをスクリーニングする最も一般的な方法の一つです。cAMPアッセイの中には、時間分解蛍光のような他の検出モードが必要なものもあります。
有益なアプリケーションノートをいくつかご紹介します。
CatchPoint cAMP蛍光アッセイキットを用いた完全なcAMPワークフローソリューション >
cAMP-Gs HiRangeアッセイを用いたGPCR活性の検出 >
SpectraMaxマルチモードマイクロプレートリーダーでのHTRF cAMP HiRangeアッセイ >
SpectraMax M5eリーダーを用いたHTRF cAMPダイナミック2とIP-Oneアッセイ >