富永 真琴先生 × Axon Instruments パッチクランプシステム
自然科学研究機構 生命創成探究センター 教授
企業/大学
自然科学研究機構 生命創成探究センター
チームメンバー
富永 真琴 教授
使用製品
Axon Instruments パッチクランプシステム
今回は自然科学研究機構 生命創成探究センターに所属されている富永先生に携わられている研究分野と今後の展望について話を聞いた。
痛み刺激受容、温度受容の分子機構の解明に関する研究について
私は、痛み刺激や温度刺激はどうやって感じるかという研究をしています。その分子は、最初に1997年に明らかになったのですが、それはカプサイシン受容体、TRPV1という分子で、イオンチャネル型の受容体と考えられています。私は幸いそのときに、そのクローニングの場に身を置くことができて、以来21年、この研究を続けています。
今、申し上げたように、カプサイシン受容体を含むイオンチャネル群は、TRPチャネルというチャネル分子であって、イオンチャネルなので、モレキュラーデバイスの製品を使って、イオンチャネルの機能を解析してるということになります。どうやってイオンチャネルが開口するのか、どうやってイオンチャネルが温度によって活性化するのか、そういうことについて研究をしています。
実験でなぜモレキュラーデバイスの製品を使用されているのでしょうか
今申し上げたように、私たちが研究しているTRPチャネルという分子はイオンチャネルなので、そのイオンチャネルの活性を、電気生理学的に解析しなければなりません。そのためにモレキュラーデバイスの製品、私たちはアンプ、それからデジデータ、およびソフトウエアを使わせていただいていますが、そういったイオンチャネルの研究には、単一チャネル電流を記録することが必須でありまして、そのために、モレキュラーデバイスのアンプの非常にノイズが低いことが役に立っています。また、先ほど申し上げたように、私たちは温度を研究しているので、温度情報を同時にコンピューターに取り入れなければなりませんが、モレキュラーデバイスのデジデータを使うと、温度情報も同時に、イオンチャネル電流の記録と同じようにコンピューターに取り入れることができるので、非常に解析がしやすくなっています。そうした電流のデータ、電位のデータ、温度のデータを同時にモレキュラーデバイスのソフトウエアで解析することで、われわれの研究がより深くなってるというふうに言えるように思います。
今後の研究の展望について
私たち、温度の研究をしているんですが、温度で、どうやってイオンチャネルが開口してるのかは、いまだに誰も、世界の誰も知りません。やはりそれは明らかにしたいというのが、まず一つであります。それから二つ目には、痛みの受容体として機能しているということは、そのチャネル機能を阻害することによって、鎮痛効果をもたらすことができるわけです。私たちがしているイオンチャネルの研究によって、将来的にこのイオンチャネルを阻害する、つまり、新たな鎮痛薬の開発につながればと思って、日々研究をしている次第です。